「仏教では人生は苦しみだって言うけど、
本当にそうなの?」
——そんな疑問を持ったこと、
ありませんか?
楽しいことだってたくさんあるのに、
どうしてお釈迦様は「人生は苦しみ」
なんて言ったのでしょうか。
実はこれ、言葉の翻訳による大きな誤解なんです。
今回は、仏教の有名な言葉
「ドゥッカ(dukkha)」の
本当の意味について、
わかりやすくお話ししていきます。
✦ 「人生は苦しみ」は誤解だった?
お釈迦様が説いた「四つの聖なる真理(四諦)」の
最初に出てくるのが「ドゥッカ」という言葉です。
この言葉は英語で「suffering(苦しみ)」と
訳されることが多く、
日本語でも「苦」と訳されます。
だから多くの人が
「お釈迦様は人生を悲観的に見ていたんだ」
と思ってしまうのです。
でも実は、お釈迦様が
この「ドゥッカ」という言葉を使ったとき、
もっと深くて大切な意味を込めていました。
お釈迦様は幸せな気持ちや
喜びについてもたくさん教えてくれているので、
「人生は全部つらい」
なんて言っているわけではないのです。
◇ ◇ ◇
✦ ドゥッカの本当の意味とは?
ドゥッカの本当の意味は、
「満たされない感じ」のことです。
私たちの生活には、
楽しい経験、つらい経験、
どちらでもない経験があります。
でも、これらすべての経験に
共通していることがあります。
それは「必ず変わってしまう」ということです。
たとえば、大好きなお菓子を
食べているときの幸せな気持ち。
「ずっとこのままがいいな」と思っても、
食べ終わればその幸せは
消えてしまいますよね。
逆に、テストで悪い点を取ってつらい気持ちも、
時間が経てば薄れていきます。
すべてのものは変わり続ける。
これが仏教でいう「無常」という考え方です。
◇ ◇ ◇
✦ 苦しみが生まれる本当の原因
ここで大切な考え方があります。
ある人がこんな言葉を残しています。
「変わっていくこと自体が苦しみを生むのではない。
変わらないでほしいと願うことが苦しみを生むのだ」
つまり、
楽しい時間を「このまま続いてほしい」と願うこと、
変わってしまうものにしがみつこうとすること——これこそが、
お釈迦様が教えてくれた苦しみの本当の原因なのです。
お釈迦様はこの原因を「タンハー」と呼びました。
日本語にすると「渇き」という意味になります。
のどが渇いているときのように、
「もっと欲しい」「足りない」と
感じ続けてしまう心のことです。
「あれが欲しい」「これがあったらいいのに」と、
いつも何かが足りないと感じている
——そんな気持ちに心当たりはありませんか?
◇ ◇ ◇
✦ ドゥッカを知ることで見えてくるもの
お釈迦様が「ドゥッカ」という言葉で伝えたかったのは、
「人生はつらい」ということではありません。
すべてのものは変わっていくんだよ、
だからこそ今この瞬間を大切にしよう、
というメッセージだったのです。
この言葉は、英語や日本語に訳すと
本当の意味が伝わりにくくなってしまいます。
だから、「ドゥッカ」という言葉のまま覚えて、
その奥にある意味を理解することが
大切だといわれています。
楽しいことも、つらいことも、
いつかは変わっていく。
そのことを知っているだけで、
心が少し軽くなるかもしれませんね。